【3月24日 AFP】南アフリカに住むトゥベリレ・ドゥロドゥロ(Thubelihle Dlodlo)さん(18)は今年、家族が授業料を払えないために大学進学をあきらめるところだったが、処女であることで何とか免れた。

 彼女がバージンである限り、首都プレトリア(Pretoria)にある大学を卒業するための授業料と寮の費用は、出身地の自治体が負担してくれる。

 沿岸都市ダーバン(Durban)の北200キロにあるウトゥケラ(Uthukela)地区で、処女の女性のみを対象に導入されたこの奨学金制度は、10代の妊娠や、まん延するHIV/AIDSの拡大防止が目的とされる。

「この奨学金はとても重要。これで私の将来が変わるのですから。世界にだって勝てる」と、ドゥロドゥロさんは語る。

 奨学金の額には幅があるが、年間数千ドル(数十万円)が支給される場合もある。受給者16人のうち、最年長のボンギウェ・シトレ(Bongiwe Sithole)さん(32)は、貧しさゆえに大学を中退していたが、この奨学金のおかげで大学に戻ることができた。

「私たち処女には、制限が設けられていない。成績にかかわらず、奨学金がもらえます」とシトレさんは語る。「自分の体、そして純潔さをもって、奨学金を受け取っているのです」

 ただし、受給条件の一つが、年配の女性による処女検査を受けることだ。人権擁護の活動家たちはこの検査について、女性らの品位をおとしめるものだとして、怒りをあらわにしている。

 だがウトゥケラ当局は動じていない。同地区のドゥドゥ・マジブコ(Dudu Mazibuko)区長はAFPに「奨学金制度を導入した主な理由は、私たちの地区で10代の妊娠率が非常に高く、多くの若者がHIVに感染しているからだ」と語った。