【3月20日 AFP】ベルギー・ブリュッセル(Brussels)で18日に身柄を拘束されたサラ・アブデスラム(Salah Abdeslam)容疑者(26)が、昨年11月のパリ同時テロ事件の際に国立競技場「スタッド・ド・フランス(Stade de France)」で自爆しようとしたが考え直して自爆しなかったと供述していることが19日、明らかになった。

 パリ検察のフランソワ・モラン(Francois Molins)検事は、アブデスラム容疑者が取り調べに対し「スタッド・ド・フランスで自爆しようとしたが考え直した」と供述したと語り、この供述は「慎重に扱う必要がある」との考えを示した。

 ベルギー検察は、アブデスラム容疑者を「テロリスト殺人への参加及びテロリスト組織活動への参加」の疑いで正式に逮捕した。同容疑者は、同国北西部ブリュージュ(Bruges)にある最高レベルの警備態勢が敷かれた施設に移送された。

 フランソワ・オランド(Francois Hollande)仏大統領は18日、アブデスラム容疑者の拘束直後にコメントし、同容疑者のフランスへの身柄引き渡しが速やかに実現して裁判が行われることを望むと述べた。

 しかしブリュッセルにあるベルギー連邦警察本部前で報道陣の取材に応じたアブデスラム容疑者の弁護士は、同容疑者は捜査に協力しているがフランスへの身柄引き渡しには抵抗すると述べた。

 法律専門家は、アブデスラム容疑者のフランスへの身柄引き渡しが遅れる可能性はあるものの、容疑者の身柄引き渡しを迅速に行うために欧州連合(EU)が導入した欧州逮捕令状が出ていることから、引き渡しの阻止は不可能だと指摘している。

 仏法務省はアブデスラム容疑者の引き渡しにかかる日数は最大で90日だと述べた。(c)AFP/John Thys with Lachlan Carmichael and Bryan McManus in Brussels