【3月19日 AFP】イラクの地方政府当局者は18日、今月9日に発生したイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」によるとみられる化学兵器攻撃の被害によりさらに子ども2人が死亡し、この攻撃による死者は計3人になったと発表した。

 この攻撃ではマスタードガスと思われる化学兵器が充填(じゅうてん)された複数のロケット弾が同国北部キルクーク(Kirkuk)の南に位置する町タザ(Taza)に撃ち込まれた。

 タザのフセイン・アッバス(Hussein Abbas)町長は18日、「今夕、10歳の少女の死亡を確認した」と述べるとともに、今月17日には生後6か月の女児も攻撃による合併症で死亡したことを明らかにした。攻撃から間もなく3歳の女児も死亡していた。キルクークの医療当局や現地の人権団体も3人の死亡を確認した。

 アッバス町長はまた、化学兵器攻撃による症状としてやけどや発疹、呼吸器の異常などを訴えて病院で手当てを受けた人が1500人に上ったと話した。同町長によると、攻撃はISの支配下にある隣村バシール(Bashir)から行われたもので、新たな攻撃を恐れてタザとその周辺の住民2万5000人が自宅から避難した。

 地元当局者は、ISがマスタードガスを攻撃に使用したと主張しているが、現在オランダ・ハーグ(Hague)の化学兵器禁止機関(OPCW)が、攻撃で使用された化学物質のサンプルの分析を進めており、結果が出るまでには数か月かかる可能性がある。

 化学兵器は、今までISが使用した兵器の中では最も軍事的効果が低いものだが、一般市民に与える心理的恐怖は多大だという。イラクのハイダル・アバディ(Haider al-Abadi)首相は化学兵器攻撃に報復する姿勢を示し、ここ数日でバシールに空爆が数回行われた。

 付近では、キルクークを管理するクルド人治安部隊ペシュメルガ(Peshmerga)と、イスラム教シーア派(Shiite)民兵の間で緊張が高まっているため、バシールでの合同IS掃討作戦の実施は遅れている。(c)AFP