パリ同時テロ実行犯のアブデスラム容疑者、ベルギーで身柄拘束
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【3月19日 AFP】(更新、写真追加)ベルギーの警察当局は18日、昨年11月に起きたフランス・パリ(Paris)の同時テロ事件で実行犯として指名手配され、4か月あまりにわたって逃亡を続けていたサラ・アブデスラム(Salah Abdeslam)容疑者(26)の身柄を、首都ブリュッセル(Brussels)市内で拘束した。
モロッコ系フランス人のアブデスラム容疑者は、2015年11月13日に130人が死亡したパリ同時テロの実行に当たって重要な役割を果たしたとされ、実行犯10人の唯一の生存者とみられている。事件当日に計画通りに自爆せず、翌日ブリュッセルに逃亡したと考えられていた。同事件ではイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出している。
ブリュッセルのモレンビーク(Molenbeek)地区で行われたアブデスラム容疑者の捜索では、他に4人の容疑者も拘束された。検察当局によるとアブデスラム容疑者は警察の急襲を受けた際に脚に軽傷を負ったという。
AFPの取材に応じた目撃者の話によると、18日午後3時半(日本時間19日午前0時半)ごろ、ブリュッセルのモレンビーク地区で警察車両数十台が出動して強制捜査が行われた。銃声が数発聞こえたという。
これに先立ちベルギーの検察当局は18日、アブデスラム容疑者の指紋が今週ブリュッセル市内の別の地区で行われた家宅捜索の際に発見されたと発表していた。この家宅捜索ではIS戦闘員と疑われる人物が死亡している。
フランソワ・オランド(Francois Hollande)仏大統領は、ベルギーのシャルル・ミシェル(Charles Michel)首相とブリュッセルで記者会見し、アブデスラム容疑者の拘束について「勝利ではあるが、テロとの戦いは今夜終わったわけではない」と述べるとともに、フランスへの容疑者の身柄引き渡し要請を「できるだけ迅速に」行う方針を示した。
ベルギーはパリ同時テロの発生直後から捜査の中心地となり、実行犯を計画を事前に察知できなかった当局の失態を非難する声が上がっていた。
捜査当局によるとアブデスラム容疑者は、事件で使用された車のうち1台をレンタルし、他の実行犯を国立競技場「スタッド・ド・フランス(Stade de France)」に送り届けたとされる。しかし、アブデスラム容疑者は予定していた自爆を実行せず、翌朝に仏警察の検問3か所をすり抜けてベルギーに逃亡。ブリュッセル市内のアパートに少なくとも3週間潜伏していたとみられている。同容疑者の自爆ベストはパリ市内で発見された。
同容疑者の逃亡をほう助した容疑でこれまで数人が逮捕されている。(c)AFP/Alex PIGMAN