【3月18日 AFP】ブラジル議会は17日、ジルマ・ルセフ(Dilma Rousseff)大統領(68)の弾劾手続きを再開した。同日にはこれに先立ち、ルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ(Luiz Inacio Lula da Silva)前大統領(70)が官房長官に任命されたものの、裁判所が差し止めを命令。ブラジルの政治危機は悪化の一途をたどっている。

 ルラ氏が官房長官への就任宣誓を行った数時間後、ルセフ大統領が汚職疑惑で捜査対象となっているルラ氏を入閣させることで同氏の刑事訴追回避を狙っているという疑惑に絡み、裁判所が入閣の差し止めを命じる仮判断を示した。政府の弁護団は直ちに上訴した。

 差し止め命令の直後、下院はルセフ大統領の弾劾を審議する委員会を開始した。ルセフ大統領は2014年に再選を目指して行った選挙活動中に、公共支出を増やすために政府会計の不正に操作した疑惑がもたれている。

 ルセフ大統領を弾劾する動きは昨年12月に野党が起こしていたが、裁判所が手続き上の問題を理由に保留させていた。しかし16日になって弾劾手続きの続行を認めた。

 国民の根深い反発や深刻な景気後退(リセッション)、連立解消の危機に直面しているルセフ政権は一段と苦境が深まっている。(c)AFP/Damian WROCLAVSKY