【3月17日 AFP】ロシアのアスリートの間で、「メルドニウム(Meldonium)」を摂取したことによるドーピング違反が相次いでいることを受け、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は16日の閣議で、スポーツ界の幹部は、同薬が世界反ドーピング機関(WADA)の禁止表に入ったことを選手らに通知し、注意喚起すべきだったと非難した。

 プーチン大統領は、幹部が「特定の薬物を禁止するとWADAが決定した時点で、ロシアの禁止表を更新し、選手やトレーナー、他の専門家に通知することを怠った」と述べ、ドーピング撲滅に向けた活動への「理解が不足」しており、迅速に対応することができなかったと指摘している。

「この薬物(メルドニウム)がWADAの禁止表に追加された時点で、注意して的確に行動すべきだった」としたプーチン大統領は、閣僚らに対し、アスリートが運動能力向上薬を使用しないよう目を光らせてほしいと再度念押しした。

 ロシアの女子テニス選手マリア・シャラポワ(Maria Sharapova)は先日、1980年代にアフガニスタンへ派遣された旧ソ連の兵士が、持久力向上のために使用していたことで知られるメルドニウムを摂取し、1月に行われた全豪オープン(Australian Open Tennis Tournament 2016)で陽性反応が出たと公表した。

 ラトビアで製造されるメルドニウムは、心疾患などの治療に用いられ、東欧では市販されているものの、米食品医薬品局(FDA)は国内での使用を認可していない。

 WADAは先週、今年1月にメルドニウムが禁止表に入って以降、これまでのドーピング検査で99例の陽性反応が確認されていると明かした。(c)AFP