【3月8日 AFP】米大統領選の共和党指名候補争いで首位を走るドナルド・トランプ(Donald Trump)氏のメキシコに対する過激なコメントをめぐり、同国のエンリケ・ペニャニエト(Enrique Pena Nieto)大統領が、ナチス・ドイツ(Nazi)の独裁者アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)やイタリアの独裁者ベニト・ムソリーニ(Benito Mussolini)の台頭を想起させる「耳障りな言い回し」だとして批判を強めている。

 ペニャニエト大統領は7日付の日刊紙エクセルシオール(Excelsior)に掲載されたインタビュー記事で、メキシコ人やイスラム教徒の移民をやり玉に挙げるトランプ氏を糾弾。米国民に対して慎重に投票するよう促した。

 同大統領は「人間の歴史にはさまざまなエピソードがあるが、残念ながらこうした耳障りな言葉は歴史上、不吉なシナリオをたどるしかない」と指摘。ムソリーニやヒトラーはこうした手法で台頭し、人間社会が経済危機後に経験していた状況や問題につけこんだと述べ、そこで画策されたことが世界的な大惨事につながったとの考えを示した。

 トランプ氏の発言をめぐってメキシコでは、ペニャニエト大統領に先立ち歴代大統領からも批判が相次いでいた。フェリペ・カルデロン(Felipe Calderon)前大統領はトランプ氏をヒトラーになぞらえ、ビセンテ・フォックス(Vicente Fox)元大統領は、国境に壁を築く資金をメキシコ側に支払わせるべきとのトランプ氏の発言を一蹴した。

 トランプ氏は移民に対する過激な批判を繰り返しており、とりわけメキシコからの移民については米国に麻薬密売人やレイプ犯を送り込んでいるとして同国を非難している。(c)AFP/Jennifer GONZALEZ COVARRUBIAS