「醜い」動物の研究、人気のなさに警鐘 オーストラリア
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【3月7日 AFP】コアラやカンガルーに比べて「醜い」げっ歯類やコウモリの研究は人気がなく、研究資金や研究例も少ないと指摘する報告が今週、哺乳類研究の専門誌「マーマル・レビュー(Mammal Review)」に発表された。
報告は、オーストラリア固有の動物の45%を「醜い動物」が占めているのに対し、それらが詳細に研究されることは少なく、研究は「より魅力的な」動物に関するものに偏っていると述べている。
豪マードック大学(Murdoch University)の野生生物学者、トリシュ・フレミング(Trish Fleming)氏によると、研究対象は「良い動物」(カンガルーやハリモグラ、コアラなど)と「悪い動物」(ネコやウサギを含む外来種)、さらに「醜い動物」(固有種のコウモリやげっ歯類)などと分けられてしまっており、このうち「醜い動物」について書かれた論文は非常に少ない。
そうした動物は小型で夜行性であることが多く、生態系の上では脆弱(ぜいじゃく)な地位に置かれているが、こうした研究の偏りがあると、そのような動物の生態系における重要性が十分理解されず、自然保護に悪影響を及ぼす可能性があると同氏は指摘している。
「生態について何も知らなければ、そうした動物にとって有害な方法で環境を管理してしまいかねない」と同氏は言う。
また国内外の自然保護基金団体が看過している「醜い種」は、最も研究が必要とされている種だと同氏は訴える。にもかかわらず「大半の種については、存在をリスト化する程度しかできていない」と言う。
また、目立たない種に関する研究論文を執筆しても「狭い興味しか引かない」研究として発表されにくいと研究者たちが考え、そうした種をあまり取り上げない傾向もあるかもしれないと同氏は述べた。(c)AFP