【3月6日 AFP】トルコ最大級の発行部数を誇り、レジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)政権に批判的な論調で知られる大手紙ザマン(Zaman)は5日、前日に裁判所の決定により政府管理下に置かれたことを受け、同国のメディア史上「最も暗黒な日々」になると紙面で警告した。

 エルドアン大統領の政敵で現在は米国を拠点にしているイスラム聖職者フェトフッラー・ギュレン(Fethullah Gulen)師との関わりが深いザマン紙は4日、裁判所の命令で政府管理下に置かれ、事実上接収された。政権批判派は、政府に批判的なメディアの言論を封殺する新たな試みだと批判している。

 4日夜、警察はまず催涙ガスと高圧放水銃を使用してザマン紙本社前に集まっていたデモ隊を排除し、ボルトカッターでこじ開けた入り口から数十人の当局者が本社に入り、同紙を正式に政府の管理下に置いた。現地メディアは一連の出来事を映像で報じた。

 地元メディアによれば、建物に入れる状態になったところで裁判所が指定した執行人らがバスでザマン紙本社の敷地に乗り付けたという。同紙の新運営陣は5日に編集長を解雇したと伝えられている。

 しかしこの状態にありながら同紙は5日、最新号を発行。黒の背景に「憲法は停止された」という大見出しが躍る第1面で「昨日(4日)はトルコのメディア史上最も暗黒な日々の一つとなった」と報じた。

 5日もイスタンブール(Istanbul)にある同紙の本社前で約500人が抗議行動を行ったが、機動隊はゴム弾や催涙ガスを使用して排除した。

■ロシア政府も調査を呼び掛け

 この事態に欧州連合(EU)は懸念を表明。ロシア外務省も、言論の自由に関する国際的な基準をトルコ政府が満たしているか欧州評議会(Council of Europe)などは調査すべきだと表明した。

 米政府は、今回の裁判所の決定は「政府批判を行うメディアをトルコ政府が法的手段で弾圧した嘆かわしい最新の事例」だとして、トルコ政府に言論の自由を尊重するよう求めた。(c)AFP/Stuart Williams with Fulya Ozerkan in Ankara