【3月4日 AFP】アフリカで平和維持活動(PKO)部隊の要員による性的暴行疑惑が相次いでいる問題で、国連(UN)は、2015年の被害申し立てが69件に上り、関与したとされる兵士らの出身国は21か国にまたがるとする報告書を3日までにまとめ、「深い懸念」を示した。

 発表前日の3日にAFPが入手した報告書は、潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長の指示で作成されたもの。性的暴行・虐待への関与が疑われるPKO要員の出身国が明らかになったのは、これが初めてとなる。

 報告書によると、被害報告で関与が指摘された兵士の国籍で最も多かったのはコンゴ(旧ザイール)の7件で、次がモロッコと南アフリカの各4件だった。

 関与が疑われる兵士の出身国にはアフリカ諸国が多く、この他、カメルーン、コンゴ共和国、タンザニア、ベナン、ブルキナファソ、ブルンジ、ガボン、ニジェール、ナイジェリア、トーゴが上がっている。警察官では、ルワンダ、ガーナ、マダガスカル、セネガル出身者の関与が指摘されている。

 一方、欧州出身者もカナダとドイツの警察官と、モルドバとスロバキアの兵士らが、性的虐待や性的搾取を行った疑いがあるという。

 こうした性的虐待疑惑のほとんどは、国連中央アフリカ多面的統合安定化派遣団(MINUSCA)と国連コンゴ民主共和国安定化派遣団(MONUSCO)が展開する中央アフリカとコンゴ(旧ザイール)で報告されているが、コートジボワールやマリでも複数の例が発生している。

 報告書によると、疑惑の件数は2013年は66件、14年には52件だったのが、昨年は69件と「著しく増加」した。被害者のうち子どもは少なくとも22人とされているが、被害者の年齢を特定できない例もあるため、実際はこれより多くの子どもが被害に遭っている恐れがあるという。(c)AFP/Carole LANDRY