【3月4日 AFP】シリア和平協議を仲介する国連(UN)のスタファン・デミストゥラ(Staffan de Mistura)特使は3日、先月27日に発効した同国の停戦について「目に見える」前進があると評価した。

 デミストゥラ特使はスイスのジュネーブ(Geneva)で記者会見し、「シリアでは暴力の程度が大幅に下がっている。シリア国民自身に聞いてみてほしい」と語った。その一方で、情勢は依然として「脆弱(ぜいじゃく)」との認識も示した。

 デミストゥラ特使は「停戦はおおむね保たれている」としつつ、首都ダマスカス(Damascus)や中部ホムス(Homs)の一部地区をはじめ「戦闘が継続している場所が多数ある」とも指摘した。

 停戦がおおむね維持されていることを最もはっきり示すものの一つは、民間人犠牲者の劇的な減少だ。在英の非政府組織(NGO)「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」によれば、シリア全土で犠牲となった民間人は停戦発効後の5日間で計73人。停戦前の2月26日には1日だけで63人に上っていた。

 一方、シリアでは3日、1時間にわたって全土で大規模な停電が発生。停電の原因は明らかになっていないが、5年近くに及ぶ内戦の爪痕を改めて浮き彫りにした形となった。(c)AFP/Maya Gebeily