【2月23日 AFP】アフリカ中部チャドで22日、少女が残忍な集団レイプ被害に遭った事件に抗議していた生徒らに兵士が発砲し、1人が死亡、5人が負傷した。約1週間前から続いているデモでは、先週も17歳の参加者が警官隊に撃たれ死亡しており、4月の大統領選を前に収束の気配はみられない。

 生徒らが抗議しているのは、軍や政府高官の息子が関与したとされるズフラ(Zouhoura)という名の少女に対する集団レイプ事件。今月15日以来、首都ヌジャメナ(N'Djamena)など各地の路上に繰り出して怒りの声を上げている。

 北部ファヤラルジョー(Faya Largeau)の病院関係者はAFPの電話取材に対し「兵士が生徒らに発砲し、1人が死亡、5人が負傷した」と述べた。

 事件では、若い男5人が少女を連れ去り、集団暴行を加えたとされる。男らはその後、裸で泣いている少女の姿を写した動画をインターネット上に投稿。国民の間で怒りの声を巻き起こした動画は、その後削除されている。

 警察はこれまでに軍の将軍の息子3人を含む5人を強姦容疑で、ムーサ・ファキ・マハマト(Moussa Faki Mahamat)外相の息子を含む4人をその共謀の疑いで逮捕している。

 世界有数の貧困国であるチャドは4月10日に大統領選を控え、在任期間が26年に及ぶ現職のイドリス・デビ(Idriss Deby Itno)大統領が再選を狙っている。その直前の時期に、国内では異例の抗議行動のうねりが起きた格好だ。

 チャド政府は18日、無許可のデモの禁止に踏み切り、治安・入管担当相はデモを行っている生徒たちについて「秩序を紊乱(びんらん)している」と批判した他、「政治グループに操られている」とも主張した。

 娘が暴行されたとして被害届を出した父親は、大統領選の候補者でもある。(c)AFP/Stephane YAS with Jean-Pierre CAMPAGNE in Libreville