【2月20日 AFP】黒人民族主義組織「ブラックパンサー党（Black Panther Party）」の元活動家で、米ルイジアナ（Louisiana）州の州立刑務所の独房に同国で最長となる43年間収監されていた男性が、69回目の誕生日を迎えた19日に釈放された。男性は数十年にわたって裁判を続けていた。

　アルバート・ウッドフォックス（Albert Woodfox）さんは、ルイジアナ州アンゴラ（Angola）の刑務所に長年収監され「アンゴラ・スリー（Angola Three）」と呼ばれていた3人の最後の一人。ウッドフォックスさんを含む3人に対する措置をめぐっては、人権団体から怒りが広がっていた。

　連邦判事は昨年6月、1972年に発生した刑務所の暴動の際に看守を殺害した罪に問われたウッドフォックスさんに対するこれ以上の申し立てを禁じ、ウッドフォックスさんの無条件の釈放を命じていた。

　看守の殺害に関するウッドフォックスさんの有罪判決は2度も覆されていたが、ルイジアナ州司法長官は、3度目の公判を行うことを決定し、ウッドフォックスさんの釈放の申し立てを妨げてきた。

　ウッドフォックスさんは声明を発表し、「新たな公判で無実を証明するのを楽しみにしていたが、自分の健康と年齢に対する懸念から、この件を今終わらせ、より軽微な罪状について不抗争の答弁をすることよって釈放を得ることにした」と述べた。ウッドフォックスさんの弁護士によると不抗争の答弁とは有罪だと認めることではなく、新しい公判で検察官が、特定の罪を被告人が犯したという目撃者の証言を証拠として提示し得るということに被告人が同意したということにすぎないという。

　アンゴラ・スリーの3人は、奴隷制農場の跡地に建てられたルイジアナ州の同刑務所における受刑者への非人道的な扱いと人種差別声高に非難していたために職員らの標的になったと述べていた。アンゴラ・スリーの事例から、狭い空間に1日23時間も閉じ込められるとされる独房監禁が被収監者にもたらす心理的悪影響に注目が集まった。

　研究者らによると、視覚的刺激や人との交流、日光、運動の機会を取り上げられた場合、人によっては数日のうちに脳の構造に変化が現れる恐れがあるという。

　しかし、米国の刑務所で独房に収監されている推定8万人の受刑者の多くは、何年も連続して独房で過ごしている。(c)AFP