世界最大の電波望遠鏡、稼働に伴い約1万人が立ち退きへ 中国
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【2月16日 AFP】中国の新華社(Xinhua)通信は16日、同国南西部・貴州(Guizhou)省の山間部に設置された世界最大の電波望遠鏡「500メートル開口球面電波望遠鏡(FAST)」が年内に稼働されるのに伴い、住民約1万人が移転させられると報じた。
地球外生命体の探索活動で活躍が期待されるFASTだが、貴州省当局は「良好な電磁環境を確保するため」に望遠鏡から半径5キロ圏内に暮らす住民9110人を、9月までに移転させる意向だと新華社は報じており、対象となる住民には1万2000元(約20万円)の補償が支払われ、一部は住み替え支援も受けられるという。
総工費12億元(約210億円)で建設されたFASTは、米自治領プエルトリコ(Puerto Rico)にある直径305メートルのアレシボ天文台(Arecibo Observatory)を超え、世界最大の電波望遠鏡となる。
中国天文学会(Chinese Astronomical Society)の武向平(Wu Xiangping)理事長は、高感度のこの望遠鏡が「銀河系外の知的生命体を探索する一助となるだろう」と述べたと、新華社は以前報じていた。
中国はこれまでも、ダムや運河など巨大インフラ事業のために住民を移転させたことがあるが、住民の多くからは補償額が少ないとの苦情が聞こえている。(c)AFP