【2月23日 AFP】中国のスーパーリーグ(1部)のクラブは、スペイン1部リーグのFCバルセロナ(FC Barcelona)や、イングランド・プレミアリーグのチェルシー(Chelsea)のような魅力には欠けるかもしれないが、高いスキルを持つ南米の選手を高額オファーで獲得し、サッカー大国をつくり上げようとしている。

 アルゼンチン代表のリオネル・メッシ(Lionel Messi)や、ブラジル代表のネイマール(Neymar da Silva Santos Junior)がバルセロナで富と栄光を手にする中、南米の貧しい家で育った選手たちが何よりも求めるのは経済的安定だ。そして、それをもたらしてくれる巨額のオファーが、極東の大国から提示されている。

 韓国で6年間プレーしたコロンビア代表のマウリシオ・モリーナ(Mauricio Molina)は、「プロ選手として、僕らはこれを職業ととらえる必要がある。現役生活は短く、家族のために経済的な安定を求めていく必要がある」と語った。

 カンピオナート・ブラジレイロ(ブラジル全国選手権)1部のコリンチャンス(Corinthians)で重役を務めた経験を持つ経済学者のルイス・パウロ・ロゼンベルグ(Luis Paulo Rosenberg)氏は、そうした選手らを「純粋な経済主体」と表現し、「高額な給料を受け取っている限り、彼らにとって中国サッカーの良しあしは関係ない」と語っている。

 デビッド・ベッカム(David Beckham)氏やスティーブン・ジェラード(Steven Gerrard)など、イングランド(England)をはじめとする欧州から引退間近のスター選手を買い集める米メジャーリーグサッカー(MLS)とは違い、アジアは、これから全盛期を迎えるトップ選手の獲得を望んでいる。

 特に中国のクラブは、欧州クラブ間の大型移籍に匹敵するほどの大金を支払って選手を獲得している。しかしターゲットの市場は、莫大な富を得ることが夢のまた夢である南米に集中している。

 先月にはブラジル人MFのラミレス(Ramires Santos do Nascimento)がチェルシーから江蘇蘇寧(Jiangsu Suning)へ移籍し、新天地デビュー戦で得点を挙げた。

 ラミレスの同胞で26歳のアレックス・テシェーラ(Alex Teixeira)も、シャフタール・ドネツク(Shakhtar Donetsk)から江蘇蘇寧へ加入しており、提示額はリバプール(Liverpool FC)をしのいだとされている。

 コロンビア代表ストライカーのジャクソン・マルティネス(Jackson Martinez)は、中国リーグ史上最高額でアトレティコ・マドリード(Atletico de Madrid)を離れ、広州恒大(Guangzhou Evergrande)の一員になった。

 モリーナはAFPの取材に対し、「中国が南米の選手を獲得しているのは、俺たちがアジア人選手とは違うスキルを持っているからだ」とコメントした。