「ホビット」はホモ・サピエンスではない、仏研究
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【2月16日 AFP】インドネシアの島で約1万5000年前に絶滅したとされる小型のヒト属ホモ・フロレシエンシス(Homo floresiensis、フローレス原人)は、現生人類としても知られるホモ・サピエンス(Homo sapiens)ではなく、まったく別の種だったとする研究論文が15日、発表された。ホモ・フロレシエンシスの扱いをめぐっては、専門家の間で意見が割れている。
身長が極端に低いことから「ホビット」との愛称をもつホモ・フロレシエンシス。その化石は、2003年に同国フロレス(Flores)島で発見された。
ホモ・フロレシエンシスをめぐっては、初期人類から枝分かれしたとする新種説がある一方、病気のため変形した現生人類であるとする説とがあり、その発見以来、激しい議論が続いている。
人類進化学の国際専門誌「ジャーナル・オブ・ヒューマン・エボリューション(Journal of Human Evolution)」に掲載された論文によると、今回の研究は頭蓋骨の化石の分析を基に行われたもので、ホモ・フロレシエンシスがホモ・サピエンスではないことが明確に示されたとしている。
大人のホモ・フロレシエンシスは、身長約1メートル、体重約25キロだったと考えられている。
フロレス島は、すでに絶滅しているゾウに似た小型種生物「ステゴドン」の生息地でもあった。
仏自然史博物館(Natural History Museum)の科学者アントワーヌ・バルゾー(Antoine Balzeau)氏とパリ第5大学(University of Paris-Descartes)の古生物の病理学専門家フィリップ・シャルリエ(Philippe Charlier)氏らが率いた研究では、日本で作成の高解像度画像を用いて骨の厚みなどを調べた。
研究の結果、化石の骨にホモ・サピエンスの特徴を確認することはできなかった。また軽度の疾患の痕跡はみられたものの、一部の研究者らが指摘するような重度の遺伝子疾患に相当する痕跡もなかった。
今回の発見では謎の一部が解明されたにすぎない。約数百万年前に近くのジャワ(Java)島にたどり着いたホモ・エレクタス(Homo erectus)が小型化したものである可能性は残り、また独立した種ではなかったことも確認されていない。(c)AFP/Marlowe HOOD