シリア病院・学校空爆で「市民50人近く死亡」 国連と米が非難
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【2月16日 AFP】国連(UN)は15日、シリア北部のアレッポ(Aleppo)とイドリブ(Idlib)両県で少なくとも医療施設5か所と学校2か所が空爆を受け、子どもを含む市民50人近くが死亡したと発表した。米国は、空爆にロシアが関与した可能性を示唆している。
ファルハン・ハク(Farhan Haq)国連事務総長副報道官は、潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長の言葉として、「このような攻撃は甚大な国際法違反に当たる」と述べ、一連の空爆を非難した。
米国も、アレッポとその周辺にある民間病院2か所が攻撃を受けたとして、これを非難。一つは国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」が運営する施設、もう一つはアジズ(Aziz)市にある病院だとしている。
国連と米国はいずれも空爆の主体については特定していないが、米国務省は一連の攻撃について、「(バッシャール・)アサド(Bashar al-Assad)政権の自国民に対する残虐行為の阻止に貢献しようというロシアの意欲や能力に疑問を呈する」ものだと指摘している。
MSFは、イドリブ県内で支援している病院の一つが攻撃を受けたことを認め、7人が死亡、8人が行方不明になっているとしている。不明者はいずれも生存が絶望視されているという。MSFも、攻撃の主体については明言していない。
一方、シリアのリアド・ハッダード(Riad Haddad)駐ロシア大使は、同院は米軍の標的になったと、米国を名指しで非難した。ハッダード大使は国営ニュース専門チャンネル「ロシア24(Rossiya 24)」に対し、「同院を破壊したのは米軍機だ。露軍機は一切関与していない。これまでに収集された情報から、そのことは完全に証明されるだろう」と述べた。
シリア内戦をめぐっては、今週中の停戦が提案されているものの、国内での地上戦が激しさを増している上、同国への軍事介入をめぐるトルコとロシア間の舌戦も続いていることから、その実現には暗雲が垂れ込めている。
トルコは15日、3日連続となるシリア国内のクルド人部隊に対する砲撃を実施。トルコは、シリアで最近イスラム系反体制派に対する勝利を続けているクルド人部隊について、トルコ国内で数十年にわたり反政府活動を続けるクルド人武装組織「クルド労働者党(PKK)」と関係があると主張している。
ロシアはトルコの砲撃について、「挑発的」行為だとして、国連安全保障理事会(UN Security Council)での議題とすることを支持すると表明。一方のトルコは、シリア空爆を続けるロシアについて「もしロシアがテロ組織のようにふるまい、市民に避難を強いることを続けるのなら、われわれは断固たる対応をとる」とけん制した。
こうした中、シリアのアサド大統領はテレビ放映された発言の中で、「1週間以内の停戦が期待されている。誰が1週間であらゆる条件や要件をまとめられるだろう?誰にもできやしない」と語り、停戦は「困難」という見方を示した。(c)AFP/Rana Moussaoui with Andre Viollaz at the UN