アインシュタイン予言の重力波、直接観測に初成功 国際チーム
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【2月12日 AFP】物理学者アルバート・アインシュタイン(Albert Einstein)が100年前に予言した「重力波」の直接的な証拠が世界で初めて確認された。国際研究チームが11日、発表した。時空構造内を伝播する波動、重力波の発見は、物理学と天文学にとって画期的な出来事だ。
研究チームの発表によると、約13億年前に2個のブラックホールが衝突した際、これらの巨大な質量が結合することで送り出された時空のゆれが、宇宙空間を伝播し、2015年9月14日に地球に到達した。このゆがみを精巧な検出器で捕捉したのだという。
米レーザー干渉計重力波検出器(LIGO)研究所のデービッド・ライツェ(David Reitze)所長は、米首都ワシントン(Washington D.C.)で開かれた記者会見で「われわれはこれまで、重力波を聞く耳を持っていなかった。だが今日では、重力波を聞き取ることができる」と述べた。会見には、大勢の報道陣が詰めかけた。
ライツェ所長と共同研究者らは、今回の発見の重要性を、17世紀イタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイ(Galileo Galilei)が400年前に天体望遠鏡を使用して現代天文学の時代を開いたことになぞらえ、「われわれは宇宙(を知るため)の窓を開いているのだと思う」と話した。
重力波は、米国内に設置された2基の地下検出器で観測された。これら検出器は、重力波の通過による微小な振動を捉えることを目的とするLIGOプロジェクトのために設計されたもの。
今回の研究に資金提供した全米科学財団(NSF)によると、研究チームは、数か月に及ぶデータの検証と分析結果の査読を経た後にようやく11日の発表にこぎ着けたのだという。16か国から約1000人の科学者が参加した国際チームによる数十年間の努力の集大成である。
重力波は、巨大な質量の運動による作用が時空構造を動かすことで生じるひずみを測る物差しとなる。時空構造とは、空間と時間とを相互にからみ合う単一の連続体とみなしたもの。光速で進む重力波を止めたり遮ったりすることはできない。