【2月12日 AFP】蚊の幼虫を捕食する魚、遺伝子を組み換えた昆虫──。世界的に感染が広がり公衆衛生上の懸念となっているジカ熱をめぐり、感染者が集中する中南米諸国では、ウイルスを媒介する蚊を駆除しようと、さまざまな手段を駆使している。

 エルサルバドルの太平洋岸にあるサンディエゴ・ビーチ(San Diego Beach)。地元漁師がジカ熱対策で活用しているのがファットスリーパーと呼ばれる魚だ。まだ羽の生えていない蚊の幼虫、ボウフラを餌にするからだ。

 漁師の男性(30)は、ファットスリーパーは水を貯めておくたるの中のボウフラを全部食べてくれると語り、「ジカ熱と闘う本物の戦士だ」とたたえる。

 感染者がブラジルに次いで多いコロンビア。地元研究者が取り組むのが細菌を利用した拡大抑制だ。

 アンティオキア大学(University of Antioquia)の熱帯病研究者らは、ボルバキアという細菌を持つ蚊に広げようとしている。ボルバキアはウイルスがヒトにうつるのを阻害する能力を持つ。

 研究プロジェクトを統括するイバン・ダリオ・ベレス(Ivan Dario Velez)氏は、「これでネッタイシマカを根絶できると本気で考えている人はいないが、個体数を抑制することで病気の拡大を防ぐ狙いだ」と説明する。

 一方、ブラジルとパナマの研究チームは、雄の蚊の遺伝子操作の実験を進めている。交尾後に生まれる幼虫が死ぬようにして繁殖能力を抑えることが目的だ。

 メキシコでは、現地を訪れた国際原子力機関(IAEA)の天野之弥(Yukiya Amano)事務局長が、放射線を使って蚊の繁殖を抑える研究を行っていると明らかにした。

 天野氏は現地誌レフォルマ(Reforma)に対し、「放射線を使って雄の蚊の繁殖能力を奪い、生息地に戻して交尾しても雌が卵を産まないようにする」ことを目指すものだと説明している。(c)AFP/Carlos Mario Marquez, with Roberto Cortijo in Lima and Alba Tobella in Bogota