ゴキブリに着想、隙間をすり抜ける小型ロボットを開発 米大学
このニュースをシェア
【2月10日 AFP】米国の科学者チームは、わずかな隙間を身をよじって通り抜けることができるゴキブリに着想を得た小型ロボットを考案した。このロボットが、地震、竜巻、爆発などのがれきの中に取り残された人々の捜索活動の助けになる日が来るかもしれない。
米カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)が開発したこの技術は、8日の米科学アカデミー紀要(PNAS)で発表された。
今回の研究を主導した研究者で、現在は米ハーバード大学(Harvard University)の博士研究員のカウシク・ジャヤラム(Kaushik Jayaram)氏は「これらゴキブリの素晴らしい点は、足を完全に横方向に向けることで、0.6センチの隙間も1.25センチの隙間と同じ速さで走り抜けることができるところだ」と話す。
「自由に走れる際の体高は約1.3センチだが、体を約0.3センチ、一セント硬貨を2枚重ねたくらいの厚みにまで平らにすることができる」
「関節機構を持つ圧縮可能なロボット(Compressible Robot with Articulated Mechanisms、CRAM、」(訳注:cramには「狭い所にものを詰め込む」という意味もある)として知られるこの手のひらサイズのロボットは、ゴキブリの背中の羽に似たプラスチック製のカバーがかぶせられる。
カリフォルニア大バークレー校のロバート・フル(Robert Full)教授(統合生物学)は「地震が発生した場合、緊急救援隊は、がれきとなった区域が安定した状態で安全かどうかを知る必要があるが、問題は大半のロボットが、がれきの中に入って行けないことだ」と指摘する。
「だが、亀裂や穴や導管が多数あれば、生存者がいる場所や緊急救援隊の安全な突入口を見つけるために、CRAMの大群を投入することを想定できる」
研究チームによると、CRAMの製作費は安価であり、現在はさまざまなタイプのCRAMを用いた実環境試験に取り組んでいるという。
米陸軍研究所(ARL)は、産学の提携先との連携の一環として、今回の研究に資金供与した。(c)AFP