ビヨンセ、スーパーボウルで黒人運動テーマの新曲 賛否沸騰
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【2月9日 AFP】米歌手ビヨンセ(Beyonce、34)が新曲に、警察の残忍さを非難するスローガンやアフリカの美への称賛を盛り込み、群衆を喜ばせるエンターテイナーから「黒人の命は軽くない(Black Lives Matter)」運動を推進する辛口スポークスパーソンへと突然の変貌を遂げた。
ビヨンセは7日、第50回スーパーボウル(Super Bowl 50)のハーフタイムショーで、新曲「フォーメーション(Formation)」を披露した。昨年は比較的おとなしい1年を過ごしたビヨンセが、その前日に発表したばかりの新曲は、南部のヒップホップスタイルを取り入れたクールなバウンス・ビートが特徴で、ミュージックビデオには政治的なイメージがちりばめられている。
米国で年間最高のテレビ視聴率を誇り、1億1100万人以上が視聴するというスーパーボウルのハーフタイムショーでこの曲を披露したことで、ビヨンセは可能な限り大勢の聴衆に自分のメッセージを届けた。
■「撃つのはやめて」
新曲ビデオでは、アフリカ系米国人が直面する「現実」を映し出すシーンが瞬く間に展開する。特に取り上げられているのは「黒人の命は軽くない」運動のきっかけとなった、過去2年間の警察による黒人殺害事件の数々だ。
中でも鮮烈なのは、フード付きスエットシャツを着た少年が、暴動鎮圧用の装備で立ち並ぶ警官隊の前で踊るシーン。警官たちが逮捕されたかのように手を上げると、壁に落書きされた「撃つのはやめて」(Stop shooting us)の文字が映る。
ビデオの舞台は、米ルイジアナ(Louisiana)州ニューオーリンズ(New Orleans)。ビヨンセは水中に沈みゆく警察車両の屋根の上で歌っている。これは、2005年にハリケーン・カトリーナ(Hurricane Katrina)で同市が壊滅状態となり、アフリカ系住民を中心に2000人近い死者が出た際、当局の救助活動に不手際があったことを暗に批判している。
また一瞬映る新聞の一面には、公民権運動の指導者マーティン・ルーサー・キング(Martin Luther King Jr.)牧師の写真とともに、1963年のワシントン大行進の際に牧師が行った演説「私には夢がある」にかけて「夢を見る人を超えて」との見出しが掲げられている。
歌詞では、ルイジアナとアラバマ(Alabama)出身の両親の下に、テキサス(Texas)州で生まれた生い立ちを歌い、「ジャクソン・ファイブ(Jackson Five)の小鼻を持った自分の黒い鼻が好き」と美の理想を語り、アフリカ系ならではのウェービーな髪をなびかせ5歳の娘、ブルー・アイビー(Blue Ivy)ちゃんの方を振り向く。