【2月8日 AFP】オーストラリアの次期潜水艦計画について豪メディアは8日、日本側がオーストラリア政府に対し、日本の「そうりゅう(Soryu)」型潜水艦を採用するならその極秘ステルス技術をオーストラリアと共有すると保証したと報じた。

 オーストラリアは2026年をめどに退役予定のコリンズ(Collins)級潜水艦に代わる潜水艦の設計・建造契約の相手を選定中で、500億豪ドル(約4兆円)規模のプロジェクトの受注を日本とフランス、ドイツの3か国が競っている。

 ディーゼルと電力で駆動する現行のコリンズ級潜水艦のもつ航続距離や耐久性に加え、次期潜水艦には優れたセンサー技術やステルス能力が求められる。

 豪紙オーストラリアン(The Australian)によると、若宮健嗣(Kenji Wakamiya)防衛副大臣は「そうりゅう」型潜水艦の詳細について、通常は米国とのみ共有する情報だとした上で、日本はオーストラリアも深く信頼する同盟国とみていると指摘。「この極秘技術をオーストラリアと共有することが、わが国にとって非常に重要だ」と、同紙に対して語ったという。

 オーストラリアンはさらに、若宮副大臣の発言として「この決定は、日本がオーストラリアを大変重要なパートナーとみていることに基づいていると認識してほしい」「次期潜水艦を開発する共同計画が、地域の海洋の安全に大きく貢献すると信じている」などのコメントを伝えている。

 中谷元(Gen Nakatani)防衛相は昨年、日本の提案を選ぶことでアジア太平洋地域の海洋安全保障を確実なものにできると述べ、中国が軍事力を増強する中で日米豪などの同盟国が協力することが重要だとほのめかしていた。一方、オーストラリアにとっては、日本を共同開発相手に選べば最大の貿易相手国である中国を怒らせる恐れがある。

 共同開発相手の選定は、豪国内の雇用最大化など政治的にも慎重さが求められており、決定まで10か月かかる見通し。海外での建造となれば国内の造船産業の衰退につながるとの懸念も指摘されており、日仏独はいずれも豪国内で大部分もしくは全てを建造すると表明している。(c)AFP