【2月5日 AFP】エジプトの首都カイロ(Cairo)で3日、先週から行方が分からなくなっていたイタリア人学生が拷問を受けたとみられる遺体で発見された。エジプト当局が4日明らかにした。イタリア政府は殺害犯の速やかな逮捕を強硬に要求している。

 英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)の博士課程に在籍するジュリオ・レジェーニ(Giulio Regeni)さん(28)は、エジプトの労働組合をテーマにした博士論文執筆のためカイロに滞在中だったが、先月25日に自宅を出て地下鉄で市中心部にある友人の家に向かった後、行方不明になっていた。

 検察によるとレジェーニさんは3日、カイロ郊外の道路沿いの側溝で、半裸状態の遺体で見つかった。他殺で、遺体には明らかな暴行の痕跡があったという。検察官は「顔と背中を中心に殴られた痕や傷があった。下半身の衣服はなかった」とAFPに語った。また、AFP記者が入手した検察の報告書によれば、両目の近くや両足などにたばこの火を押し付けられたようなやけどの痕も確認されたという。

 マッテオ・レンツィ(Matteo Renzi)伊首相は、エジプトのアブデルファタハ・シシ(Abdel Fattah al-Sisi)大統領に電話し、レジェーニさんの遺体の速やかな祖国への返還と、捜査にイタリアの専門家を関与させることを要求した。

 レンツィ首相は、イスラム主義組織「ムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)」出身のムハンマド・モルシ(Mohamed Morsi)前大統領を2013年に追放した後に就任した元エジプト軍トップのシシ大統領を、西側諸国の首脳としては最初に受け入れていた。(c)AFP/Mona Salem with Angus MacKinnon in Rome