拒食症に苦しんだ元トップモデル、ファッション業界の闇を暴露
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【2月4日 AFP】まさに夢物語だった。フランス・パリ(Paris)の街を歩いていた少女が一躍、世界トップ20にランクインするモデルとしてファッションショーのランウェイを闊歩(かっぽ)するようになったのだから――。
それは2011年、高校卒業を目前に控えた当時18歳のビクトワール・マソン・ドクセール(Victoire Macon Dauxerre)さんに実際に起こった出来事だ。しかし夢は長続きしなかった。
ドクセールさんは、モデルになってわずか数か月ですでに拒食症に悩まされるようになっていた。エリートモデルの地位を手放したくない一心で、毎日リンゴ3個とダイエットコーラしか口にしていなかったという。
「痩せろと言われたわけではないんです」とドクセールさんは振り返る。「でもその代わりにこう言われました、『9月にはファッションウィークにデビューする。サイズは32~34(日本の5~7号)だから、それが着られないと困る』って」
「その時点で辞めておけば良かった」と悔やむドクセールさんは、自身の回顧録「どんなに痩せても痩せ足りない―あるトップモデルの日記(原題、Jamais assez maigre: Journal d'un top model)」で、ダイエットのプレッシャーを回想している。
ファッションショーのためにスリムでなければならないというプレッシャーについて警告したフランス人モデルは、ドクセールさんが初めてではない。拒食症を患い、ファッション業界を痛烈に批判する著書を記したイザベル・カーロ(Isabelle Caro)さんは2007年、イタリア・ミラノ(Milan)のファッションウィーク開催中に、拒食症の警鐘キャンペーンに痩せ切ったヌードで登場し物議を醸した。カーロさんはその3年後、28歳という若さで他界した。
ドクセールさんが当時自分に許していたのは、リンゴとダイエットコーラのほかに、1週間に1度、一切れの魚か鶏肉を食べること。スカウトされた時、身長178センチで健康的な56キロだった体重を、その後数か月で47キロまで落とし、4サイズ小さい服が着られるようになった。
こうしてドクセールさんは、「アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)」や「セリーヌ(Celine)」、「ミュウミュウ(Miu Miu)」といった一流メゾンのモデルに起用され、パリ、米ニューヨーク(New York)、ミラノを股に掛けて華々しい活躍を始めた。