化学物質毒性をヒト細胞で予測、動物実験削減に期待 米研究
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【1月27日 AFP】米国の科学者チームは26日、化学物質の毒性を測定する、従来より迅速で効率の高い方法の開発を進めていると発表した。これにより、動物実験の必要性が軽減される可能性があるという。
研究チームは、実験室のペトリ皿内のヒト細胞を用いて、殺虫剤、工業用化学薬品、食品添加剤、薬物などを含む化学物質約1万種を試験した。
試験の結果は、対象の化学物質やそれらの組み合わせが新たな薬剤や環境化学物質で用いられた場合に、人間や環境に害を及ぼす可能性があるかどうかを「予測」するためのモデルを構築するために使われた。
毒性は、新薬が安全性試験を通過できない主な理由の一つであり、この毒性データベースによって、研究のはるかに早い段階で、安全でない化学物質を特定できる可能性があると期待されている。
英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された研究論文の中で、論文の執筆者らは「人間が暴露される数千種に及ぶ化学物質は、毒性作用をもたらす可能性を予測するための根拠となるデータが不足している」と記している。
動物を用いる従来の毒性試験は、コストが高い上、生物種の違いがあるため、化学物質の人間に対する影響を必ずしも正確に予測できるとは限らない。