【1月26日 AFP】(写真追加)西アフリカ・ギニアの首都コナクリ(Conakry)に住む高校生のサー・マティアス・レノーさん(18)は「どうやったら笑えるか、少しずつ、思い出している」と語る。レノーさんは、西アフリカで猛威を振るったエボラ出血熱で親を亡くした大勢の孤児の一人だ。

 国連(UN)によると、ギニア、シエラレオネ、リベリアで特に甚大な被害をもたらしたエボラ出血熱に感染した人は約2万9000人、命を落とした人は1万1315人。そして、2万2000人以上の子どもたちが少なくとも両親のどちらかを亡くした。

「子供たちの苦しみは本当に最初から始まる。家族に感染者がいると分かった瞬間から、彼らは心に傷を負う」と、国際人道支援団体プラン・インターナショナル(Plan International)のヤヤ・ディアロ(Yaya Diallo)氏は言う。感染者がいる家の子供たちは、近所の人々から敬遠されたり、汚名を着せられたりした。

 リベリアでは、12歳の少女が亡くなった母親と一緒に家に閉じ込められて隔離されるという恐ろしい事件も起きた。パニックを起こした村人は森に逃げ込み、少女は水も食事も与えられないまま何日も泣き続け、一人で息を引き取ったという。

「両親がエボラで亡くなったために孤児となった子供について、現時点では統計がない」とディアロ氏は言う。プラン・インターナショナルでは、食料の配給やカウンセリングを行い、そうした子供たちと受け入れ先の家族を支援している。

 それでも、多くの子供たちの傷は癒えていない。両親ときょうだいの一人を亡くしたレノーさんは「生きているのが辛い」と言う。「幸い、学校では誰も僕がエボラ出血熱の犠牲者の家族だということを知らない。本当に信用できる校長先生にだけ打ち明けた。先生はいつも僕を励ましたり、慰めたりしてくれる」

 しかし、兄のエマニュエルさんは大学を中退して働くことを余儀なくされた。2014年10月の「1週間のうちに父も母も失った。僕はもう勉強はできない。自分が働かないと残された弟たちが勉強を続けられなくなる」

 コナクリの公立大学に所属する医師、ジーン・ペ・コリー(Jean Pe Kolie)氏は、エボラ孤児たちを支援するプログラムがないことを嘆く。「国からは、こうした子供たちを社会に復帰させるプロジェクトを立ち上げるための支援も資金提供もない。エボラ熱を生き延びた人々への支援はあるが、孤児たちには何もない」

(c)AFP/Abdoulaye BAH