【1月23日 AFP】フランス・パリ(Paris)の裁判所は22日、世話をしていた生後2か月の乳児が死亡した後、乳児の両親を殺害し、遺体を切断して遺棄した罪に問われた中国人の乳母に禁錮20年の有罪判決を下した。

 フイ・チャン(Hui Zhang)被告(34)は、世話していた乳児が死亡した後、雇用主の中国人夫婦と暴力的ないさかいになり、夫婦を殺害したと認めた。

 フイ被告は、子供を失った夫婦が激高して自分と恋人男性(34)を肉切り包丁で襲ってきたため、正当防衛で2人を殺害したと主張したが、検察側は禁錮20年を求刑していた。共同被告人として起訴された恋人の男性は無罪判決を受けた。

 今月19日に始まった公判でフイ被告は「私が2人を殺害したのは事実です。私は殺害を一生後悔するでしょう」と殺害の事実を認めた。

 同被告と恋人の男性は、夫婦を自宅へ招待し、乳児の死を通報しないよう金銭的な解決を試みた。しかし乳児の死に怒りをあらわにした夫婦との話し合いがこじれ、暴力的ないさかいに発展したという。

 共同被告人の男性は、いさかいの最中に倒れて意識を失っていた間に、フイ被告が洗濯機の音でごまかしながら、風呂場で電気ノコギリを使って夫婦の遺体を切断したと述べた。フイ被告は切断した遺体をごみ袋に包み、自宅アパートを丁寧に清掃したという。

 警察官によると、この男性はその後、徒歩や公共交通機関を使って遺体の一部を運び、パリの東にあるバンセンヌ(Vincennes)の森に遺棄するのを手伝った。

 事件は2012年6月、ジョギングをしていた人がバンセンヌの森で足首から下のない人の脚を発見したことで明るみに出た。その数日後には盲導犬が人の胴体を見つけた。捜索が行われたが、遺体のその他の部分は発見されなかった。遺体の身元が判明する前に2人は警察に自首し、森の中で遺体が埋まっている場所を警察に教えた。しかし、フイ被告が他の遺体の一部と一緒にごみ箱に捨てたと供述した乳児の遺体は発見されなかった。(c)AFP