年間の子供の水死約1万8000人、バングラデシュが水泳必修化
このニュースをシェア
【2月9日 AFP】バングラデシュのジャハナラ・アンワル(Jahanara Anwar)さんは、長男を水難事故で失った。その直後に心に誓ったことがある――次男には絶対に水泳を習わせると。
「長男には、試験が終わったらスイミングセンターへ通わせてあげると約束していた。でもその時は、そこまで大事だと思っていなかった」と悔やむアンワルさん。2011年、当時14歳だった長男は近所の運河へ遊びに行ったまま、帰らぬ人となった。
「今はそれがどんなに重要か疑う余地もない。私が抱えてきた心痛を、他のどんな母親にも味わってほしくない」
バングラデシュでは毎年約1万8000人、1日平均でおよそ49人の子どもが水の事故で命を落としている。1~17歳の子供の死因で最も多いのが「水死」だ。
国土の大半がデルタ地帯にあり、雨期には何度も洪水に見舞われる。人口1億6000万人のうち約4分の1は海辺に住んでおり、水の事故の危険が日常生活の一部となっている。
しかし泳げる子供はほとんどいない。世界最貧国の一つであるバングラデシュでは、生活に苦しむ世帯がほとんどで、水泳教室に通わせる金銭的余裕がないのが実情だ。