【1月22日 AFP】台所でうごめく大量の幼虫は、誰もが好むものではない。潔癖症の欧米人にとってはなおさらだ。だが、オーストリア人の若い2人の起業家にとって、幼虫は地球を救うことのできる「食の革命」をもたらすものだ。

 カタリーナ・ウンゲル(Katharina Unger)さん(25)とユリア・カイジンガー(Julia Kaisinger)さん(28)は、たんぱく質が豊富な幼虫を食用として家庭で飼育できる装置を開発した。

「この設計なら、毎週200~500グラムの幼虫が作れる」と、ウンゲルさんは最近首都ウィーンで開かれた試食を兼ねた資金調達イベントで語った。

「冷凍しておいて、普通の肉と同じように調理して食べられる。煮たり焼いたり、パンにはさんでバーガーを作ったり、パスタソースに加えたり」

 この「卓上飼育装置」の最上部で、幼虫の群れはさなぎになって成虫になる。その後、成虫は交尾をして下の段に卵を産み落とす。

 地表面の温度に調節された環境の中で、卵はふ化して幼虫になり、徐々に成長して底部の引き出しに下りる。体長3センチほどに成長したところで「採取」されるのだ。

 国連(UN)の食糧農業機関(FAO)によれば、世界で少なくとも20億人に昆虫を食べる習慣があると推定され、食されている昆虫の種類は1900を超えるという。

 欧州では、ローマ人や古代ギリシャ人が幼虫を食べていた。古代ギリシャの哲学者、アリストテレス(Aristotle)はセミの幼虫が大好きだったという。フランスのミモレットやイタリアのカース・マルツゥなど、欧州のチーズの中には虫を含んでいたり、製造段階で使ったりしているものもある。

 だが、大半の欧米人は虫を不愉快なものとみなしており、栄養素とはみていない。