【1月17日 AFP】イラン核開発問題をめぐる昨年7月の最終合意が履行されたとして、欧米諸国による対イラン経済制裁が16日、解除された。イランにとっては国際社会での孤立からの脱却に向けた大きな一歩となった。

 経済制裁の解除は、イランが欧米など6か国との合意に基づく核開発の制限措置を完全に履行したとの国際原子力機関(IAEA)による査察結果を受けて行われた。

 6か国の代表を務める欧州連合(EU)のフェデリカ・モゲリーニ(Federica Mogherini)外交安全保障上級代表は、オーストリア・ウィーン(Vienna)で行われたイランのモハンマドジャバド・ザリフ(Mohammad Javad Zarif)外相との共同記者会見で「イランの核開発に関連した多国間および各国の経済金融制裁を解除する」と発表。今後、イランにとって重要な原油輸出や人口8000万人規模の同国市場への企業進出に拍車がかかりそうだ。

 イランは、IAEAによる厳しい査察を受け入れるとともに、核兵器の生産に必要な兵器級ウランを保有できるまでの期間を、従来の数か月から最低1年に引き延ばす措置を取った。これには、ウラン濃縮に使用する遠心分離機の3分の2の削減、濃縮ウランの国外搬出、アラク(Arak)にある原子炉の炉心部分撤去などが含まれていた。

 ウィーンを訪問していたジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官も米国と同盟国の制裁を解除を発表し、「核兵器の脅威が低下したため、全世界は安全になった」と語った。また、国連(UN)の潘基文(バン・キムン、Ban Ki-Moon)事務総長も「合意履行に向けた全当事者の誠実な取り組みを反映している重要な通過点」とコメントしている。(c)AFP/Simon Sturdee with Arthur MacMillan in Tehran