【1月16日 AFP】米俳優ショーン・ペン(Sean Penn)さんが17日に放映予定のインタビューで、刑務所を脱獄して逃亡中だったメキシコの麻薬王「エル・チャポ(El Chapo)」ことホアキン・グスマン(Joaquin Guzman)受刑者に自分が面会して書いた記事が、米国の麻薬との闘いに関する新たな議論を巻き起こせなかったことを残念に思うと語った。

 世界的な指定手配犯グスマン受刑者をペンさん自身がインタビューした記事は、9日に米誌ローリング・ストーン(Rolling Stone)に掲載されたが、記事は大きな批判を呼び、その矛先はペンさん本人へも向かっている。

 これについて、17日に放映される米CBSテレビの報道番組「60ミニッツ(60 Minutes)」に出演しているペンさんは、逃亡中のグスマン受刑者と会った目的は、国際的な麻薬取引における米国の役割に光を当てることだったと述べた。

 15日に放映された予告編でペンさんは、司会を務める同局のベテラン記者チャーリー・ローズ(Charlie Rose)氏に向かって「わが国は(麻薬の)消費者だ。皆さんがショーン・ペンに同意するかどうかにかかわらず、そこには共犯関係がある。もしも皆さんが倫理的に右派だろうと、ずっと左派だろうと、多くの子どもたちがこうした麻薬を使っている。(なのに)この記事が先週発表されてから、どれほどの時間を割いてこの問題が語られたというのだろう。1%?それほどもないだろう」と語った。

 さらに「この記事に関するすべての議論が、この記事の目的を無視していることを残念に思っている。この記事は、麻薬撲滅政策に関する議論に貢献するのが目的だったんだ」と述べた。

 一方、ペンさんの会見記事掲載前日の8日にグズマン受刑者はメキシコで拘束された。これについてメキシコ政府は、追跡捜査にペンさんの記事が一役買ったと主張している。しかしペンさんは「60ミニッツ」で「メキシコの司法長官が言ったとされているように、私たち一行のエル・チャポ(グズマン受刑者)訪問が『彼の拘束に不可欠だった』という神話があるが、私たちが彼と会ったのは何週間も前、10月2日のことで、彼が拘束された場所の近くではまったくない」と反論した。

 さらにペンさんに対するメディアの批判については、グズマン受刑者のインタビューのような一大スクープをつかんだことに対する嫉妬だろうと述べ「世界中のジャーナリスト全員が欲しがっているネタを手に入れれば、近付いてきてキスをしたがる嫉妬の鬼は山ほどいるだろう」と語った。(c)AFP