【1月15日 AFP】世界反ドーピング機関(WADA)は14日、陸上界を統括する国際陸上競技連盟(IAAF)で汚職が「横行していた」とする調査報告書を発表。就任したばかりのセバスチャン・コー(Sebastian Coe)IAAF会長に重圧がのしかかる事態となったが、報告書をまとめたリチャード・パウンド(Richard Pound)元WADA会長は、組織改革のためにはうってつけの人物だと擁護した。

 WADAは今回の報告書で、ラミーヌ・ディアック(Lamine Diack)元会長が主導していたとされる汚職と、ロシアの組織ぐるみによるドーピングについて、IAAFは問題を把握していたはずだとの見解を示した。そして、IAAFに対する糾弾はさらに続き、ドーピングスキャンダルはロシアだけではなく、「数か国」ではとても足りない規模だとしている。

 パウンド氏は、薬物の乱用に対するIAAFの姿勢について「組織内に汚職が横行していた」としており、「管理体制が崩壊し、説明責任が欠如している」と強調。「これは自らの不可解な背任行為であり、見過ごしたり放置したりできるはずはない」と批判した。

 問題の黒幕とされるディアック氏は、薬物違反をもみ消す見返りにロシアの陸上選手や関係者から100万ユーロ(約1億3000万円)以上の賄賂を受け取っていたとして、フランスで刑事責任が問われている。

 パウンド氏は「陸上界におけるドーピングの規模や、反ドーピング規則の適用が施行されていないことを認識できなかったはずはない」として、コー会長を含めたIAAFの審議会が汚職を認識していたはずだと指摘した。

 今回の報告書が発表された会見には、英国陸上競技の元名選手として知られ、ディアック氏の退任を受けて昨年8月にIAAFのトップに就任したコー会長も同席した。

 IAAFの改革について問われたパウンド氏は、「コー氏が会長である限り、この事態を掌握して強い指導力を発揮し、ここから脱却して前進する素晴らしい機会になると考えている」と答えた。

「名誉挽回のために仕事は山積みであり、そのためのリーダーとしてコー会長以外の適任者は考えられない。われわれとしても、成功を祈っている」

(c)AFP/Damien STROKA