【1月14日 AFP】インドネシア・スラウェシ(Sulawesi)島で、11万8000年以上前の石器が発見された。オーストラリアなどの科学者らが13日、英科学誌ネイチャー(Nature)に研究結果を発表した。石器を製作した原始人類の痕跡は見つからなかったが、オーストラリアに最初に到達した人類種と関連がある可能性があるという。

 スラウェシ島にある4か所の離れた遺跡から数百個に及ぶ石器時代の石器が発掘されたことにより、この島に最初にやってきた、現在すでに絶滅している人類種に関する長年の議論に拍車がかかる可能性がある。

 同島近くのフロレス(Flores)島で2003年、体の小さいホミニン(ヒト族、類人猿を除く現生種と絶滅種の人類を表す用語)の化石が発見された。「ホビット(Hobbit)」の通称で呼ばれるフロレス原人(学名:ホモ・フロレシエンシス Homo floresiensis)は、年代測定検査の結果、少なくとも100万年以上前にフロレス島に到達したと判明している。

 論文主筆者である豪ウロンゴング大学(University of Wollongong)の研究者、ゲリット・ファン・デン・ベルフ(Gerrit van den Bergh)氏は、AFPの取材に対し、現生人類としても知られるホモ・サピエンス (Homo sapiens) が約5万年前にこの地にやってくる以前、原始人類が居住していた島はフロレス島だけではなかったことを、今回の発見は示していると語った。

 多くの科学者らが支持する説によると、ホビットは、絶滅したホモ・エレクタス(Homo erectus)の子孫にあたるという。ホモ・エレクタスは「島嶼化(とうしょか)」と呼ばれる過程を経て数百世代にわたって次第に小型化した。島嶼化は、海水位が低い時代に陸を渡って島に移動してきた動物が、海面の上昇によって島に取り残されてしまう現象だ。