カトマンズ地下の断層、大きなひずみが今も蓄積 研究
このニュースをシェア
【1月12日 AFP】2015年にネパールで大地震を発生させた巨大な地下断層は、首都カトマンズ(Kathmandu)の直下で、依然として極めて大きなひずみを蓄積した状態を保っているとの研究論文が11日、英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)に発表された。
研究結果は、地震の典型的な発生周期とされる数百年ではなく、数年から数十年以内に、100万人以上が暮らすこの地域で新たな巨大地震が発生する可能性があることを意味している、と研究チームは記している。
論文の主執筆者である英オックスフォード大学(Oxford University)のジョン・エリオット(John Elliott)氏によると、断層線を地下深くから上向きに貫いて走った断裂帯は、カトマンズの地下、深さ11キロのところで突然止まったため、地表に近い部分の断層が壊れずに残っているという。
エリオット氏は報道向けの声明で、壊れずに残った断層の上部では「蓄積される圧力が時間とともに絶え間なく増大している」とし、「この部分は地表により近いので、2015年4月の大地震と同規模の断裂が起きて断層の上部が一気に壊れた場合、カトマンズに与える影響はその時よりはるかに大きくなる可能性がある」 と述べた。
ネパールは、2つの構造プレートの間に走る大きな断層線の上に位置している。インドが載るプレートは、欧州とアジアを載せたもう一方のプレートを、年間約2センチの速度で北と東の方向に押している。
ヒマラヤ(Himalaya)山脈を形成したこのプロセスにより、断層線に沿って蓄積されたひずみが周期的に解放され、上に載せた陸塊を上方および外部へ向けて押しやると、地震が発生する。
エリオット氏は「残念ながら、次の地震がいつ起きるかを正確に予測する手段は存在しない」とし、「国や都市が地震発生時に対する備えを万全にしておくことが問題となる」と述べている。(c)AFP