シリア、政府軍包囲の町に救援物資 30人近くが餓死
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【1月12日 AFP】(更新)内戦下のシリアで11日、反体制派が掌握し、政府軍に包囲されている町マダヤ(Madaya)に救援物資を積んだトラックが到着した。
シリア・アラブ赤新月社(Syrian Arab Red Crescent)の発表によると、同日午後には食料やその他の救援物資を載せたトラック44台がマダヤ入りした。また、政府軍に包囲されている別の2つの町にも、計21台のトラックが到着したという。
目に涙を浮かべた女性や子供たちが暗闇の中、寒さに震えながら救援物資を運ぶトラックを待っていた。ある住民(27)は「食べるものはパンさえありません。水も電気も暖房もないんです。子供たちは一晩中泣いていますが、食べさせるものがないんです」と語った。
国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」によると、マダヤでは今月10日だけで5人が餓死し、昨年12月1日からこれまでの餓死者は28人ほどに上ったという。バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領の政府軍によって6か月にわたって包囲されてきたマダヤの住民らは、安堵(あんど)すると同時に、これまで生き残るためにあらゆる手段を講じてきたと明かしている。
「15日間スープしか口にしていない」という17歳の少年はAFPに対し、「若い男性が猫を殺し、ウサギの肉だといって家族に与えていたのを見た」「ごみ箱をあさる人、雑草を食べる人もいた。兵士らに食べ物を分けてほしいと頼んだが、拒否された」と語った。
アサド政権は7日になって、救援物資の搬入を許可した。国連(UN)の世界食糧計画(WFP)は、今回提供されたのは4万人の1か月分の食料だとしている。また赤十字国際委員会(ICRC)によると、3か月分の薬に加え、緊急外科手術用品やブランケットなども運び込まれたという。
ICRCは最初の搬入作業を歓迎。ICRCシリア代表部のマリアンヌ・ガゼール(Marianne Gasser)首席代表は声明で、 「搬入作業が始まった。数日かかると思われる。非常に好ましい進展だ」としながらも、「一度限りの搬入で終わらせてはならない。数万人の苦しみを和らげるためには、これらの地域へ定期的なアクセスが認められるべきだ」と訴えた。
■約400人に緊急避難必要
国連(UN)のスティーブン・オブライアン(Stephen O'Brien)人道問題担当国連事務次長は、約400人が生命の危機にひんしており、救命医療を受けさせるためマダヤから避難させる必要があると述べた。スペインとニュージーランドの国連大使も11日、同様の主旨の発言をしていた。国連は、これら400人の多くは飢餓や栄養失調の状態にあり、マダヤから航空機で脱出させる許可をシリア政府に求めていることを明らかにしている。
国連は、軍が包囲した15か所の約40万人を含む外部からの接触が困難な地域にいる約450万人のシリア人に援助を届けようと努力を続けている。(c)AFP/Roueida Mabardi