脱獄した麻薬王「エル・チャポ」を拘束、メキシコ大統領宣言 逃亡半年
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【1月9日 AFP】(更新)メキシコのエンリケ・ペニャニエト(Enrique Pena Nieto)大統領は8日、半年前に刑務所を脱獄し逃亡を続けていた麻薬王「エル・チャポ(El Chapo)」ことホアキン・グスマン(Joaquin Guzman)受刑者(58)を拘束したと発表し、「作戦は完了した」と誇らしげに宣言した。
メキシコ海兵隊が同日、グスマン受刑者の故郷である北西部シナロア(Sinaloa)州ロスモチス(Los Mochi)で拘束作戦を展開。マリオ・ロペス・バルデス(Mario Lopez Valdez)同州知事によると、グスマン受刑者はロスモチス郊外のホテルで身柄を拘束された。
ペニャニエト大統領はマイクロブログのツイッター(Twitter)に、「作戦は完了した。我々はついに奴を拘束した。メキシコ国民に、ホアキン・グスマンが拘束されたことを報告したい」と投稿。その後のテレビ会見で、「昼夜を問わず私の命じた作戦を遂行した」と治安当局の関係者をたたえた。
メキシコ海軍はグスマン受刑者の拘束発表に先立ち、ロスモチスで武装した男たちが隠れているとの通報を受けた海兵隊が男たちと銃撃戦になり、5人を殺害、6人を拘束したとの声明を出していた。
グスマン受刑者はシナロア州を拠点とする麻薬密輸組織の首領。同国中部アルティプラーノ(Altiplano)にある警備が厳重な刑務所に収容されていたが、昨年7月11日に独房のシャワー室に堀った穴から地下に下り、レールに取り付けられたオートバイで長さ約1.5キロのトンネルを抜けて脱獄した。
十数人の刑務官と連邦警察官が脱獄をほう助したとして逮捕されたほか、外部からトンネルを掘ったとしてグスマン受刑者の関係者数人が身柄を拘束された。
米国とメキシコの治安当局によれば、グスマン受刑者は脱獄後、飛行機で本拠地のシナロアとドゥランゴ(Durango)州の州境に逃亡。昨年10月にメキシコ海兵隊が同地域で拘束作戦を行ったが、グスマン受刑者は顔と足を負傷しつつも逃げおおせ、作戦は失敗に終わっていた。
グスマン受刑者は2001年にも、別の刑務所から洗濯物を入れるカートに隠れて脱獄し、13年間にわたって逃亡を続けた過去を持つ。このときは2014年2月22日に、シナロア州のリゾート地マサトラン(Mazatlan)のコンドミニアムで妻と幼い双子の娘たちと一緒にいるところを逮捕された。
今後はグスマン受刑者の身柄が米国に引き渡されるか否かが焦点となるとみられる。ペニャニエト大統領は前回の逮捕後には、同受刑者の引き渡しを拒否したが、その後、当局は同受刑者を外国に引き渡すための逮捕状を用意している。(c)AFP/Laurent THOMET