【1月8日 AFP】英国の女性警察官が、児童放置の疑いで米当局に保護され里親に預けられた息子の返還を求め、米ニューヨーク(New York)の裁判所に提訴した。ニューヨーク市当局が自分の承諾なく息子を米国に留め置いているのは違法だと訴えるとともに、里親の女性がLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)活動家なのはふさわしくないと主張している。

 ニューヨーク・ブルックリン(Brooklyn)の連邦裁判所に出された訴状によると、ロンドン警視庁(Metropolitan Police ServiceScotland Yard)の警察官で産休中のルイーズ・フィールデン(Louise Fielden)さんは、現在生後14か月になる息子サミュエル(Samuel)君を英国に帰してほしいと求めている。

 フィールデンさんは昨年4月、サミュエル君を連れて米マンハッタン(Manhattan)を旅行で訪れた。ところが、宿泊したホテルの部屋にサミュエル君が放置されていたとして、ホテル従業員が児童保護当局に通報。フィールデンさんは児童保護遺棄のほか、逮捕の際に抵抗した公務執行妨害、規制薬物所持の容疑で訴追されてしまった。

 このうち、薬物については後日、ぎっくり腰のためのコデイン処方薬と判明。フィールデンさんに対する起訴は今月4日に取り下げられた。

 フィールデンさんは自らを「敬虔で保守的な英国国教会(Church of England)の信者」だと表し、サミュエル君の里親として、LGBT活動家であるスーザン・セナ(Susan Sena)さんはふさわしくないと主張。息子の里親が同性愛者のポルノスターを主賓とするパーティーに参加したことがあると聞き「びっくり仰天した」と述べている。

 米家庭裁判所はサミュエル君の保護措置をとるよう命じており、フィールデンさんは英イングランド(England)在住の自分のいとこにサミュエル君を預けるよう求めている。

 2014年10月に生まれたサミュエル君の父親は、オランダの匿名精子提供者だ。

 訴状によれば、フィールデンさんとサミュエル君は2015年1月、英領西インド諸島(British West Indies)を訪れて3か月の休暇を過ごした後、4月にニューヨークに移動。チェルシー・ハイライン・ホテル(Chelsea Highline Hotel)にチェックインした。

 フィールデンさんは、サミュエル君が折り畳み式ベビーベッドで眠っていたため、そのままにして部屋を離れ、下の階に行って赤ちゃん用水差しを洗っていたと説明。目を離していたのは30分ほどだったとして、「赤ちゃんをベビーベッドに寝かせておくのは、英国の文化では危険とはみなされない」と訴えている。(c)AFP