【AFP記者コラム】『スター・ウォーズ』最新作、厳重態勢のプレミア上映を体験して
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【1月13日 AFP】「スター・ウォーズ(Star Wars)」シリーズの最新作を世界で真っ先に見られる観客の一人になるのは、どんな感じなのだろう?
待ちに待たれたSF大作の一般公開を前に、パリ(Paris)を拠点とする映画担当記者の私は、映画内容を極秘扱いとするディズニー(Disney)の宣伝キャンペーンを目の当たりにした。それは、まるで銀河系規模のミッションを遂行するかのようだった。
シリーズ7作目となる『スター・ウォーズ/フォースの覚醒(Star Wars: The Force Awakens)』は欧州の数か国で2015年12月16日、米国では同18日に一般公開されたが、これに先駆けてVIPとマスコミ向け試写会が行われた。
この試写会が特別だったのは、一般公開前に映画の詳細が漏れないようディズニーが前例のないほど厳しい規制をメディアに求めたことだ。
ハリウッド(Hollywood)で開催されたワールドプレミア試写会には、抽選で選ばれた幸運な5000人とセレブたちが出席。ロサンゼルス(Los Angeles)を拠点としている私の同僚、ベロニク・デュポンもこのプレミアに参加できたジャーナリストの一人だ。ただし、この一握りの幸運な人たちも映画の粗筋について一言も書くことは許されなかった。
一方、一般公開の前日に行われたパリでの試写会は、SF大作というよりスパイ映画の筋書きさながらだった。
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12月初めのことだった。私宛てに「スター・ウォーズ」の名で謎めいた電子メールが届いた。それは私が「フランスのみならず全世界から、熱烈に待ち望まれた新作を見られる者の一人」に選ばれたことを知らせる「特別な上映会」への招待状だった。
メールは開封から10秒後に自動消滅こそしなかったが、自らチケットを購入して見に来るファンたちの楽しみを台無しにしないため、私は映画の粗筋や登場人物の関係を漏らさないとの秘密保持契約書への署名を求められた。さらに12月16日水曜日午前9時01分より前にレビュー記事を公開しないことも約束させられ、これらに違反した場合は法的措置をとることもあり得るとの警告もメールに書かれていた。
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ハリウッドの大手映画製作会社が新作映画の公開前にかん口令を敷くことは珍しくない。こうした制限に多くの記者たちが苦々しい思いをしてきた。
それでも、プレミア試写会に参加したければ、私は契約書に署名するしかない。署名をすませると会場に入る際に必要となる譲渡不可のパーソナルコードが私の携帯電話に送られてきた。
試写会の開催日が15日であることは知っていた。だが上映時間と会場は、前日になってからショートメッセージで招待された記者300人の携帯電話に通知されるという。
これもまたミステリーじみている。フランスでは通常、映画の試写会は公開前の数日間か数週間にわたって行われるし、時間と場所だってかなり前に知らされる。
待ちに待ったメッセージが私の携帯電話に送られてきたのは14日の午後3時頃だった。ようやく明日の何時に映画が始まるのかわかった。上映会場は?なんと、パリ中心から随分離れているではないか。
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私たち記者は指定された時間に会場前に到着。多くが、映画のプレミア試写会というよりもっと壮大、荘厳で重大なことを取材するのだという気分だった。
上映1時間前の開場時刻になると、私たちはパーソナルコードと身分証の提示を求められ、警備員から入念にバッグの中身を調べられた。携帯電話は一時預かりとなり紙袋に入れて封をされる。上映が終わるまで返してもらえない。
上映前にディズニー側から、携帯電話の持ち込みは禁止で上映中も暗視装置をつけた警備員が違反者がいないか見回るとの警告があった。通常の試写会では事前に渡される資料も一切ない。すべては、これから『フォースの覚醒』を見に行く人たちに先入観なしに楽しんでもらうためなのだと、私たちは繰り返し説明された。
すべてのセキュリティー手続きを終えると、疲れきった記者たちも、ようやく上映室に入ることができた。さらに苦悩の数分間が経過。そして映画が始まった。あのジョン・ウィリアムズ(John Williams)の名テーマ曲とともに。
映画の鑑賞中も、室内のあちこちに通路を行き来する影を感じた。携帯やカメラを持ち込んでいないか警備員が監視しているのだ。
2時間半がたち、記者たちは世界で最も普通でない試写会を後にした。
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を見た私の感想は?シリーズ7作目の本作は、このカルト的SF映画の熱烈なファンたちを失望させないだろう。
このプレミア上映会について記者としての感想を聞かれたならば、はるか遠くの銀河系で壮大なミッションを達成した気分でオフィスに戻ったと言っておこう。実際のところは、映画を1本見たというだけの話なのだが。(c)AFP/Sophie Laubie
このコラムは、仏パリを拠点とするAFPの映画担当記者ソフィー・ロウビーが執筆し、2015年12月18日に配信されたコラムを翻訳したものです。
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