【1月8日 AFP】仏パリ(Paris)市当局はこのたび、人々に親しまれているサン・マルタン運河(Canal Saint-Martin)の清掃作業を行うため、数万匹の魚を別の場所に移送した。仏皇帝ナポレオン・ボナパルト(Napoleon Bonaparte)の命令により建設されたこの運河は、大勢の観光客らを魅了している。

 3か月におよぶ清掃作業では、ナマズから体重16キロのコイに至るまで、あらゆる魚が4日までにセーヌ(Seine)川に移された。

 地元釣り協会のマリオン・エスカルピ(Marion Escarpit)さんは、「病気や奇形の魚はほとんどいなかった。運河の底にあるものを見れば、驚くべきこと」と語った。

 運河には、ビール瓶や自転車、便器、丸めたじゅうたん、武器類などのごみが投げ込まれていたという。

 プロジェクトに参加する当局者の一人、水中生物学者のロマン・ゼイエ(Romain Zeiller)氏は、「遺体はまだ見つかっていない」と冗談を飛ばした。

 ただ、水質は近年改善しており、運河に住む水中生物は急増している。

 エスカルピさんによると、パリでは1980年代、わずか2種類の魚しかいなかったが、現在では35種類が生息しているという。

 運河の清掃作業は、4月上旬まで行われる。費用は950万ユーロ(約12億円)で、同市が負担する。(c)AFP/Pierre SAUTREUIL