【1月8日 AFP】イランは7日、在イエメンのイラン大使館がサウジアラビアの戦闘機による空爆を受けたと発表した。これに対し、イエメンで空爆作戦を実施するサウジアラビア主導の連合軍は大使館空爆を否定。中東を揺るがしている両国の緊張は、ますます高まりを見せている。

 イラン側は、イスラム教シーア派(Shiite)系反政府武装勢力フーシ派(Huthis)が掌握しているイエメン首都サヌア(Sanaa)への空爆で、大使館職員が負傷したと主張している。イランの支援を受けているフーシ派は、サヌアで連合軍が数か月間にわたって実施してきた空爆の標的になっている。

 イラン国営テレビは、同国外務省報道官が「サウジアラビアによるこの意図的な行為は外交使節団の保護を規定したあらゆる国際条約に違反する」と述べたと報じた。

 その後、ホセイン・アミール・アブドラヒアン(Hossein Amir-Abdollahian)外務次官が、「サヌアに対するサウジアラビアの空爆で、わが国の大使館のそばにロケットが着弾し、不運にも警備員1人が重傷を負った」と発表した上で、「数時間以内に、国連安全保障理事会(UN Security Council)にこの攻撃の詳細を伝達する」と述べ、安保理へ抗議する意向を示した。

 一方、サウジ連合軍は、イラン大使館付近で作戦を展開していた事実はないとして、イラン側の主張を否定。調査により「訴えは虚偽」だと判明し、「大使館やその周辺では作戦は実施されていない…大使館の建物は無事で損傷もない」と主張している。

 スンニ派(Sunni)の大国サウジアラビアは2日、シーア派の高位聖職者の死刑を執行。シーア派の大国イランではその後、これに激怒したデモ隊が、在テヘラン(Tehran)のサウジ大使館を襲撃した。これを受けて、サウジアラビアは3日、イランとの外交断絶を発表していた。(c)AFP/Siavosh Ghazi