【1月3日 AFP】イスラム教スンニ(Sunni)派が大多数を占めるサウジアラビアで2日、政府に対する抗議行動の背後にいた高名なシーア派(Shiite)派指導者の死刑が執行され、シーア派が国民の多数を占めるイランとイラクが同国を批判した。

 サウジ内務省の発表によると、死刑が執行されたのはシーア派指導者ニムル・ニムル(Nimr al-Nimr)師(56)に加え、シーア派反政府活動家、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)による攻撃に参加したスンニ派の計47人。

 ニムル師処刑の発表で抗議デモが呼びかけられたが、シーア派が差別されていると訴えている産油量豊富な同国東部州(Eastern Province)に居住している同師の兄弟モハメド・ニムル(Mohammed al-Nimr)氏は平静を呼びかけた。

 同氏は「死刑執行は(サウジアラビアにいるシーア派の)若者の間で怒りを引き起こすだろう」と述べた一方、「われわれは暴力や当局との衝突は拒否する」姿勢を明らかにした。

 同国内務省は、(処刑された)47人は過激思想に染まり、「テロリスト組織に参加」してさまざまな「犯罪計画」を実行し、有罪判決を受けていたと述べた。

 国営サウジ通信(SPA)が公表したリストによると、死刑が執行されたスンニ派の中には、2003年5月に首都リヤド(Riyadh)で発生し米国人9人を含む35人が死亡した外国人居住施設の攻撃や、翌04年に東部州の都市ホバル(Khobar)で発生し、主に外国人の22人が死亡したアルカイダによる攻撃などの実行犯として有罪判決を受けた容疑者もいた。

 17歳の時に逮捕され、勾留中に拷問を受けた後に死刑判決を受けたとして、同国が人権擁護団体や米国から激しい非難を受けたニムル師のおいは死刑を執行された人のリストに含まれていなかった。

 処刑された47人のうち45人はサウジアラビア人で、残りの2人はエジプト人とチャド人が各1名。同国内務省報道官によると、処刑は剣による斬首や銃殺刑執行隊によるものだった。

 サウジアラビアでは昨年1月のサルマン国王(King Salman)即位後、死刑執行数が激増しており、2015年は2014年の2倍に近い153人が処刑された。(c)AFP