【1月2日 AFP】伝説的なジャズ歌手である故ナット・キング・コール(Nat "King" Cole)さんの娘で、歌手のナタリー・コール(Natalie Cole)さんが12月31日、米カリフォルニア(California)州ロサンゼルス(Los Angeles)の病院で死去した。65歳だった。遺族が1日に発表した。

 コールさんは薬物中毒を克服し、父親の名声に頼らない自らの成功をつかんだが、腎臓移植手術後の合併症など長年、健康的な問題を抱えていたという。遺族は声明で「ナタリーは激しく勇敢に病と闘い、彼女の人生そのままに尊厳と力、そして名誉と共に亡くなった」と述べた。

 コールさんは、苦労して成功を収めた同世代のアーティストの多くとは異なり、ロサンゼルスで比較的裕福に育った。コールさんの歌手としてのキャリアは常に父親の存在と結び付けられた。ナット・キング・コールの娘という触れ込みでクラブ歌手として売れるようになったが、より現代的なR&Bの歌手として自らの地位を築くことに苦労した。

 R&B、ソウル、ポップなどのジャンルを経て、コールさんは1991年、父親が歌った名曲をカバーすることで大成功を収め、アルバム「アンフォゲッタブル(Unforgettable... With Love)」はグラミー賞(Grammy Awards)の年間アルバム賞を受賞し、全米で約700万枚を売った。表題曲では1965年に亡くなった父親が残した音源との「デュエット」が話題になった。

 コールさんは後に女優としても活動し、米国のゴールデンタイムのテレビ番組にも出演したが、薬物使用や3度の離婚など私生活では苦労が絶えなかった。

 2000年に出版された自伝「エンジェル・オン・マイ・ショルダー(Angel on My Shoulder)」では、父親、そしてプールで水死した息子の死後にうつを患ったことを告白。ヘロインやクラックコカイン中毒にも陥り、薬物使用者向けの更生施設で繰り返し治療を受けたが、C型肝炎を発症し、肝臓移植手術も受けていた。(c)AFP