48階バルコニーにぶら下がり生還、ドバイのホテル火災
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【1月1日 AFP】アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ(Dubai)で12月31日夜に火災が起きた高級ホテルにいたあるフォトグラファーは、あと数メートルのところに火の手が迫る中、48階の部屋のバルコニーの隅にしがみつきながら、生きて新年を迎えることはできないかもしれないと思った。
「1時間たったら、もうおしまい。死んでいると思った」。フォトグラファーが立っていたのは、ロープで窓拭き用の足場がつながれたバルコニーのへりだった。
そのわずか前に、高級ホテル「アドレス・ダウンタウン・ドバイ(Address Downtown Dubai)」のバルコニーへ友人と一緒に出た。自分が勤務する新聞社の紙面に写真を掲載するため、大みそかの花火を撮影しようとしてだった。しかし下の階で大きな火の手が上がり、巨大な建物の数階分が一気に火にのみ込まれた。友人は非常口へ走った。バルコニーにもすぐに煙がやって来た。逃げる方法もなく、窒息死を恐れたフォトグラファーが唯一取ることのできた行動は、自分の体と窓拭き用の足場をロープで結び付け、バルコニーにぶら下がっていることだった。
AFPの取材に匿名で応じたこのフォトグラファーは、窓の外で必死に生にしがみつきながら、救助を要請してもらえるよう、同僚に電話やメールで連絡を取った。救助を待つ間、電話口では救助隊の隊員に落ち着くようにと励まされた。30分以上が過ぎた後、救助隊が近づく音が聞こえた。「光が見え、足音が聞こえたので、気が付いてもらえるように(足場の)アルミをがんがん鳴らした」。煙が充満した廊下を誘導されて脱出した。「あんなに長く取り残されていたのは、自分だけだと思う」
ドバイの警察当局によれば、建物内にいた人は全員避難していた。出火の原因は分かっていない。周辺では世界一高い超高層ビル「ブルジュ・ハリファ(Burj Khalifa)」を皮切りに新年の祝賀花火が上がり、ドバイの空に広がっていた。(c)AFP/Lynne AL-NAHHAS