【12月31日 AFP】イラク政府がイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」から奪還した中西部の都市ラマディ(Ramadi)について、当局は30日、数か月に及ぶ戦闘で市内の広範囲が破壊されており、市民が戻るには時間が必要だとの見解を発表した。

 イラク軍は27日夜、同市中心部の政府庁舎をISから奪還したと宣言。だが、一部のIS戦闘員がまだ市の東部などに残っており、市内に設置された爆弾の除去作業も多くの地域で終わっていない状況だ。

 ラマディの地元議員は、「テロ活動と軍の作戦により、市は広範囲が破壊されている」と述べた。完全に破壊された住宅は3000戸を超えており、さらに数千戸が損壊。また、「水道、電気、下水その他、橋梁、政府施設、病院と学校などのインフラのすべてが相当な被害を受けている」という。

 ISは、今月22日に始まった政府軍の攻勢に対する防衛措置として、ラマディ市内の至るところに計数千個の爆弾を仕掛けていた。

 5月にISが制圧したラマディの奪還作戦を支援していた米主導の有志国連合は、同地域で7月以降、約630回の空爆を行った。

 ラマディでは、戦闘が激化し始めた2年前から住民が避難し始めていた。奪還作戦中も数百世帯が自宅に閉じこもっていたが、政府軍によって29日に避難させられ、ラマディ東郊のハバニヤ(Habbaniyah)にある施設に移された。(c)AFP