リビアの「無名墓地」、祖国帰還望む難民遺族
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【1月7日 AFP】リビアの首都トリポリ(Tripoli)郊外の墓地で、チュニジア人のイマド・ベン・サレムさん(29)が掃除をしているのは、「無名の人」となった弟の墓だ。この「無名の人の墓地」には、新たな人生を求めて旅に出たが、目的地にたどり着くことができなかった難民たちの遺体が数多く埋葬されている。
墓には辛うじて日付が記されているだけで、名前は刻まれていない。だが、リビア赤新月社(Libyan Red Crescent)の協力を得て、イマドさんはここ、ビル・オスタ・ミラド(Bir el-Osta Milad)墓地に弟のカビルさん(25)が埋葬されていると確信している。ところが、医師の手違いと官僚的な手続きにより、遺体を祖国の家族の元へ送り返すことができないという問題に直面している。
欧州で新しい人生を歩む夢が地中海に沈んでしまった数百人の難民たちが、この墓地に埋葬されている。本国への送還がかなうのは身元が確認されている場合に限られる。
サウジアラビアにあるイスラム教の聖地メッカ(Mecca)への大巡礼「ハッジ(Hajj)」の終わりを告げる祭日「犠牲祭(イード・アル・アドハ、Eid al-Adha)」の3日目に「弟は127人の難民と共に亡くなった」とイマドさんはAFPに語った。
イマドさんのリビア滞在は3日間、長くても1週間のはずだった。しかし、家族8人の生活を支えるタクシー運転手の仕事からは、すでに1か月以上離れてしまっている。「私がここに来た時、書類は何もなく、至るところで問題に直面した」と怒りをあらわにするイマドさんは、「リビアとチュニジアの当局、リビア赤新月社、赤十字社(Red Cross)に私が求めているのは、弟の遺体をチュニジアに連れ戻すことだけだ」と訴えた。
木の下の茂みに点在する墓には、不運な難民の遺体が海から回収された日付や、リビアの海岸に打ち上げられた日付が刻まれている。遺体に身元を確認できる情報が一緒にあれば、名前や国籍も加えられる。