「約束の地」での厳しい現実、エチオピアのラスタたち
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【1月14日 AFP】「約束の地」を求めて世界中からエチオピアへと向かった「ラスタファリアン(Rastafarian)」たち──しかし、そこでは基本的人権が保証されないなど、厳しい現実を突きつけられ、いまだに夢をかなえることはできていない。
ラスタファリ運動は、ジャマイカに住むアフリカ人奴隷の子孫の間で1930年代に発生した精神的思想運動で、1960年代~70年代にかけて、レゲエ界を代表するミュージシャン、ボブ・マーリー(Bob Marley)やジミー・クリフ(Jimmy Cliff)の音楽を通じて世界中で知られるようになった。
ラスタファリ運動の一組織、エチオピアン・ワールド・フェデレーション(Ethiopian World Federation)の代表を務めるルーベン・クシュ(Reuben Kush)さんは、「われわれはこれまで、どうやって生き延びて来れたんだろうか…」と自問する。同組織は1930年代に設立され、基本的人権を求めて活動を続けている。
クシュさんは約10年前、故郷の英バーミンガム(Birmingham)を離れ、エチオピア南部シャシャマネ(Shashamane)にあるラスタファリアンのコミュニティーに加わった。首都アディスアベバ(Addis Ababa)の南方250キロの同コニュニティーでは、過去数十年にわたって、財産や教育、職をめぐる法的な権利を獲得することができていない。
シャシャマネのコミュニティーでは、2015年11月、ラスタの人々が神と崇める、かつてのエチオピア皇帝ハイレ・セラシエ(Haile Selassie)1世の即位85周年を祝った。「ラスタファリアン」という名称は、セラシエ1世の即位前の名前、タファリ・マコネン(Ras Tafari Makonnen)に由来している。ラスは「頭」という意味だ。