【12月28日 AFP】中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は27日、同国初の反ドメスティック・バイオレンス(DV)法を可決した。

 反DV法は、家庭内暴力を定義し、禁止命令の発令手続きを簡素化する内容となっており、成立を望む運動が長年、展開されてきた。国営新華社(Xinhua)通信によれば、DV問題についてはこれまで、婚姻や子どもの保護など他の問題に対処する別々の法や規則が参照されてきた。

 また新華社は、3月から施行される新法では、DVを「家族を構成する人物によってもたらされる、殴打や監禁、身体的自由に対する強制的制限、暴言や言葉による脅しの繰り返しなど、身体的、心理的、その他の危害」と定義していると報じた。また虐待が報告された場合、警察に即刻介入するよう義務付けたられたという。

 さらに新華社が報じた中国共産党系団体、中華全国婦女連合会(All China Women's Federation)の統計によると、中国の既婚女性の4分の1近くがDVを体験しているという。しかし、DV問題は個人的な問題として長らく脇へ追いやられてきた。法的な定義がないために、犠牲者たちが虐待を報告してもその多くは警察から女性団体、自治体の委員会へとたらい回しにされ、深刻な負傷などの被害がない限り、当局は介入に消極的だった。

 20年足らず前まで、中国では身体的暴力が離婚の理由として認められることさえなかった。婚姻法改正でDVが初めて明確に禁止されたのは2001年になってからのことだ。

 一方、同国の人権団体「益仁平(Yirenping)」は、この反DV法は性的暴行や、同性カップル間のDVに対応しておらず「十分とは言い難い」との談話を発表した。(c)AFP