【12月27日 AFP】シリア首都ダマスカス(Damascus)の反体制派3拠点から戦闘員や市民数千人が退避する計画が26日、中断された。この前日、反体制派組織のリーダーが、空爆で死亡している。

 バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権が行ったとする空爆で死亡したのは、ダマスカス東部の東グータ(Eastern Ghouta)地区を拠点とする、反体制派の有力武装組織「ジャイシュ・アル・イスラム(Jaish al-Islam、イスラム軍)」のザハラン・アルシュ(Zahran Alloush)司令官(44)。

 同組織のある幹部は、戦闘機が司令官らの「秘密会合」を標的にしていたと語り、アルシュ司令官が死亡者の中に含まれると確認した。

 司令官の死亡は、約5年に及ぶ内戦に大きな影響を与えるほか、脆弱(ぜいじゃく)な和平プロセスも複雑にするものとみられる。

 また、ダマスカス南部地区からの約4000人の退避計画も中止された。

 政府当局者によると、計画では26日に、ダマスカス南部のカダム(Qadam)、ハジャル・アスワド(Hajar al-Aswad)、ヤルムーク(Yarmuk)のパレスチナ人難民キャンプからシリア北部に退避者らを移送する予定だったという。

 退避者の約半数は過激派戦闘員とされ、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」や国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系のシリア武装組織「アルヌスラ戦線(Al-Nusra Front)」のメンバーらも含まれるとみられている。

 交渉団に近い治安筋はAFPに対し、計画は現在、中断されていると述べた。

 一方、在英の非政府組織(NGO)「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」のラミ・アブドル・ラフマン(Rami Abdel Rahman)代表は、計画は「凍結されたが、中止されたのではない。安全な通行路確保などを中心とした後方支援問題がその理由」だと話している。(c)AFP