【12月21日 AFP】レバノンのイスラム教シーア派(Shiite)武装組織ヒズボラ(Hezbollah)は、1979年に4歳の女児を含むイスラエル人3人を殺害したことで知られる同組織のメンバーが、イスラエル軍がシリア首都ダマスカス(Damascus)付近で実施した空爆で死亡したと発表した。

 死亡したのは、サミール・クンタル(Samir Kantar)元受刑者(54)。ヒズボラの声明によると、19日夜、「シオニストの敵機が、彼が住む(ダマスカスの南東にある)ジャラマナ(Jaramana)地区の建物を爆撃した際」に死亡した。

 クンタル元受刑者はまだ10代だった1979年、「パレスチナ解放戦線(Palestine Liberation Front)」の他の3人のメンバーと共にイスラエル北部のナハリヤ(Nahariya)村に侵入し、民間人の男性(28)を射殺、さらに4歳の娘の頭を銃床で殴って殺害した。この事件は当時、イスラエルを震撼(しんかん)させた。

 クンタル元受刑者はこの親子とイスラエル人警官1人を殺害した罪で5度の終身刑と禁錮47年の判決を受けたが、事件から約30年後の2008年、捕虜交換の一環としてイスラエルにより釈放され、ヒズボラ内で名の知れた人物となった。また、米政府は今年9月、「ゴラン高原(Golan Heights)でのヒズボラのテロ基幹施設建設」への関与を理由に、同元受刑者をテロリストに指定していた。(c)AFP