【12月19日 AFP】国連安全保障理事会(UN Security Council)は18日、5年近くにわたって続くシリア内戦の終結に向けた和平プロセスを支持する決議案を全会一致で採択した。

 ジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官はこの決議について「(内戦の)全当事者に、今こそシリアでの殺りくを終わらせる時だというメッセージを送ることになる」と述べた。

 しかし今回の国連決議は、シリア和平に向けた取り組みの中で最も意見が分かれている問題の一つである、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)シリア大統領の処遇には触れていない。

 15か国から構成されている国連安保理の決議は、正式な和平交渉と停戦を来年1月初めから開始することを呼びかけている。安保理の常任理事国である米国、ロシア、フランス、英国、中国は、シリアで進みつつある国際的結束を強調するため、シリア和平に向けた外交努力に国連の支持を取り付けようとしてきた。

 採択された決議は、「シリアにおける現在の危機に対する正当と認められる唯一の解決方法は、シリア人主導の包括的で、かつシリア国民の正当な希望と一致する政治プロセスにある」としている。

 安保理決議のシリアに「完全な行政権を有する包括的な移行政府」の樹立を求めている点は、スイス・ジュネーブ(Geneva)とオーストリア・ウィーン(Vienna)で先に行われた交渉での合意に基づいている。

 決議はまた、国連に対し「2016年1月初めを目標」として、シリア政府と反体制派の双方を移行政権についての正式な協議の席に着かせるよう求めている。

 ケリー国務長官は「(各国の立場に)はっきりした違いがあるのは明らかだ」と述べて、アサド大統領の処遇で意見対立があることを示唆し、「成功を収めるためには、和平プロセスはシリア国民が主導し、具体化し、最終決定するものでなければならない」と指摘し、「内戦が終わるとするならば、代替となる新政府についてシリア国民の間での合意形成が不可欠だ」と付け加えた。(c)AFP